(1)光反応性キトサン
キトサンはカニやエビなどの甲殻類から容易に採取され る多糖類で、創傷治癒特性などを有することから、近年、医学領域での応用が試みられてきています。一方、キトサンは、酸性でしか溶けない、あるいはゾル/ ゲル変換が困難であることなどから、用途開発が難しい素材でした。
ネーテックでは、キトサンの水溶性を改良し中性付近で可溶化すると共に、光反応性基をキトサンに導入することによって、光で簡単にゾル/ゲル変換を制御で きようにしました。
この光反応性キトサン(PRC)は粘性の高い水溶液で、外傷や外科処置後の組織などあらゆる患部に塗布しやすく、365〜500 nmの光照射によって短時間で接着性の不溶化ゲル体となります(図1)
 
図1  短時間の光照射で、PRC水溶液が不溶性の接着ゲル体 となる。
 
 
 
ネーテックで開発しているPRCは、単独で外傷部位に塗布すると創傷治癒を促進し (グラフ1)、必要に応じて成長因子などの活性物質を担持させることも可能です。例えば、PRCにb-FGFを担持させると難治性外傷や骨欠損部での組織 修復を加速できます。また、PRCは高い組織接着能を有しているので、体内組織の出血や肺のガス漏れを防止できる分解性接着剤として使用できることも動物 実験で確認されています。

 
グラフ1  PRC処理されたマウスモデル外傷の治癒(4日後)
PRC処理によって、創傷面積の縮小が著しく加速します。さらに、β-FGFを担持させたPRCハイドロゲルでは、難治性外傷においても、血管新生を伴う 治癒促進効果が確認されています(データは示さない)。